読書する子は○○がすごい/榎本博明

 

 

 ずっと以前に『「やりたい仕事」病』など、「自分探し」についての著作を紹介したことのある榎本博明さんの著書が最近話題になっていると知って手に取ってみました。

 

 子供の頃の読書の効用を紹介した本なのですが、昨今読書をする子としない子の差の拡大傾向が止まらないそうで、その結果としての学習能力の差の拡大も進んでいるようです。

 

 以前、AIの読解力と関連して子供の読解力について言及した『AI vs. 教科書が読めない子供たち』についてこの本の中でも言及されているのですが、それなりの大学に入学してきた学生たちも、フツーにそこに書かれている文章の意味をマトモに把握できない割合が3~4割程度もあるという衝撃的な事実を紹介されていて、その結果、産業界からの要請もあって、国語で文学だけではなく実用文書の読解についてのカリキュラムが取り入れられるということです。

 

 そういう現象は、子供の頃から読書の習慣が無いことに起因しているようなのですが、読書をすることで語彙力や読解力が養成されるだけでなく、論理的思考力が養成されるということで、ここにこう書いてあれば、次はこういう話が展開されるだろうなぁ、という予測もできるようになるはずなのですが、読書習慣が欠けていれば、大体の日本人が備えていることを期待される、そういうセンサーが欠けてしまうようです。

 

 また、特に文学に親しんでいることで、他人の感情の動きなどを察する能力も向上するということで、読書をしない人に比べると社会性の高さが有意に確認できるということで、”使える”人材としての評価は相当大きくなってしまうようです。

 

 そういう読書の効用というのは、ある程度以上の年代になるとなかなか身に付けることは難しいようで、小学校に上がるまでにある程度の読書習慣があることが必須だということで、特に子供の頃の読み聞かせに始まって、文字に親しみ始めた頃からの段階的な読書能力の向上が重要なようで、その前提として親の読書週間の度合いが大きく関わっているということです。

 

 昨今ではオトナも、スマホを触るばかりで読書習慣を持つ人が少なくなってきているようですが、特に小さい子供を持っている人、もしくは子供を持とうとしている人は、その子供の将来を考えると、読書習慣を持つようにしないとヤバいですよ!