守備の力/井端弘和

 

 

 2000年代に中日ドラゴンズで、荒木雅博選手と組んだ鉄壁の二遊間“アライバ”で中日の黄金期を支えた井端弘和選手が読売ジャイアンツに移籍してからの自伝的な著書です。

 

 割と守備の名手と言われる人と言うのは、高校の時にはそれほど目立った選手ではない人が多いようですが、そういう選手って元々あまりバッティングで目立った成績を収めることができなかった選手が多いようで、そういう選手が守備を練り上げて行って、その部分に注目されてプロでギリギリ引っ掛かって入って、徐々に守備固めなんかで試合経験を重ねて行く中で、次第にバッティングの能力も練り上げられて行って、息の長い選手になっていくようです。

 

 そういうタイプの選手って、得意である守備はモチロンなんですが、バッティングについても自分が持っているリソースの中でどんなことができるんだろう、ということをかなり突き詰めて考えていることが多いようで、そうやって一つ一つ成功体験を積み重ねていく中で経験値を上げていき、気がつけば選手としての能力が分厚い基盤の上に積み重ねられているようで、まさに井端選手はそういうプロセスでご自身のキャリアをたどって行かれたようです。

 

 プロ野球なんていうととてつもない、選りすぐられた人たちの集まる世界ですが、それでも、モチロンご謙遜はあるにせよ、そこまで巨大な才能を持ち合わせていなかったとしても、努力とキャリアデザインで歴史に残るような選手になる可能性はあるんだということをおっしゃられているようで、そういうのはどこの世界でもありえることなんだということで、励みになるモノでした。