中東問題再考/飯山陽

 

 

 昨年行われた東京15区の衆院補選で予想外の健闘を見せ注目を浴び、補選で無くて、比例代表制の選挙であれば当選間違いなしとの評価を受け、近い将来国会議員になるかもしれない飯山陽さんですが、この本は本職であるイスラム問題に関する本です。

 

 ただ、「中東問題」とはなっていますが、この本で扱われているのは「中東問題」そのものというよりも、日本における「中東問題」を扱う人の考え方というか、主張されているところが原因で、日本において「中東問題」が歪んだ見方をされているのではないか、ということが主要なテーマのように感じます。

 

 対イラン問題、対トルコ問題、この本の執筆時点でガザ紛争は発生していませんが、パレスチナイスラエルをめぐる問題といった「中東問題」について、日本における「中東専門家」が語られていることを紹介して、片っ端から論難されていくワケですが、多くの日本人から見るとかなり偏った見方をされている方が多いようで、やはり中東を研究するだけあって、イスラム世界への同情は見方をされる方が多いということで、明治初期の『エルトゥールル号』で乗組員を救ったことを恩義に感じて未だにトルコは親日的だとか、ちょっとでも日本人が中東にシンパシーを感じることがあれば、針小棒大に強調する傾向があるようなのですが、エルドアン大統領を見ればわかるように、相当したたかなトルコ人がそんなことで日本に有利なことをするはずないでしょ!?というのは、まあ、理解できる気がします。

 

 そういう「中東専門家」の歪んだ見方が日本における中東問題をわかりにくくしているのではないか、ということを主張されていて、一定理解はできなくはないのですが、じゃあ、あなたはどう考えてるの?ということがほとんど書かれてなくて、確かに論敵を攻撃するという論調はアリっちゃアリなんでしょうけど、何か読んでて結局何が言いたいのか見えにくいですし、そもそもあまり気分の良いモノでもなく、政治家になるのなら、どっかの都知事候補みたいな方向性を志向されるのですかね…