『妻のトリセツ』など脳の機能の性差についての著書で知られる黒川さんですが、この本はお母さんと子どもの脳の働きについての本です。
この本は出世作である『女の機嫌の直し方』と同時期の出版で、黒川さんの多作さと共に引き出しの多さに驚かされます。
ご自身の息子さんを育てられた経験を踏まえて語られているワケですが、子育てに纏わる様々な”神話”を脳の機能の研究を通して評価されていて、特に男の子の子育てについて、かなり参考になるのではないかと思われます。
例えば、卒乳について、2歳位までには母乳を”卒業”した方がよいということが言われるのですが、必ずしも科学的にそういう根拠は全くないようで、むしろ脳の発達にとっては、本人か母親がイヤになるまで母乳を与える方が、のちのち安定的なメンタルをつくることに資する様ですし、早期教育については、確かに英語なり漢字や算数なり、こなすスキルは身につくワケですが、そのことによって指示待ち的な姿勢が顕著になり、自律的な姿勢を阻害してしまういう弊害があるようで、黒川さんは否定的に捉えられています。
またいわゆる”反抗期”についても言及されていて、親から見ると何かと問題行動をして心配するワケですが、”反抗期”というのは子ども脳からオトナ脳への移行期にあたり、脳の機能が不安定になるが故にバグってしまう状況なんだそうで、温かく見守ってあげるのがベストなようです。
そういうトピックが満載でいろいろヒントになることが多いと思うのですが、何よりも参考にすべきだと思ったのが、男の子の子育てについての母親の姿勢で、母親は男の子にとって座標上の原点であるべきだということで、母親がゆるぎない愛情を注ぐことで精神が安定し、自分の進むべき方向にチカラ強く進んで行けるんだそうです。
ということで、特に男の子のお母さんには是非是非一読して欲しい一冊です。