社長って何だ!/丹羽宇一郎

 

 

 伊藤忠商事の社長と務められた丹羽さんが語られる社長の在り方についての本です。

 

 丹羽さんは社長在任中に、日本を代表する大企業の社長を務められているにも関わらず、電車通勤をされていたというエピソードに触れられているのですが、その理由について、社長専用車でぬくぬくと移動していては市井の感覚とかけ離れてしまうということを危惧されていたからだということで、そういう姿勢が丹羽さんの社長としての在り方のお考えが象徴されているような気がします。

 

 一昨日紹介した『会社がなくなる!』で会社に求められる倫理性について再三強調されていましたが、その中でトップを務める社長には特に高潔さが求められると考えられていたようで、2期6年という、社長として一定の成果を挙げるための最低限の任期だけを務めて後任に道を譲るなど、その理想を体現しようとされていたように伺えます。

 

 また、経営面においては会社が果たす社会的な側面を重視されていたようで、ご自身は従業員の正社員化の施策を実施するなど、近年の多くの企業で見られる従業員の非正規化などによる利益至上主義的な姿勢に苦言を呈されています。

 

 最近、やたら内部留保を積み上げて、自社さえよければよいという姿勢の経営者も多いようですが、丹羽さんのように社会性への意識の高い経営者が増えて行かなければ、日本経済はどんどんシュリンクしていくような気がします…