会社がなくなる!/丹羽宇一郎

 

 

 先日、2019年に出版された丹羽さんが日本の近未来の在り方を語られた『日本をどのような国にするか』を紹介しましたが、この本は2021年に出版された、今後の日本企業の在り方を語られたともいえる本です。

 

 最近、大企業を中心にやたらと「SDGs」が取り沙汰されていますが、そういう風潮について前半で取り上げられていて、確かにそういう社会貢献的な活動に注力すること自体はいいことなのかも知れませんが、得てしてそういうお題目に飛びつく企業の多くは”中身”が伴っていないんじゃないですか!?とキビシイ指摘をされています。

 

 同じく”キレイごと”に思える社外取締役についても語られていて、これも”お題目”好きの大企業が飛びついているようですが、必ずしもガバナンスの向上につながっているワケではなさそうで、むしろ丹羽さんが伊藤忠商事の社長を務められていた時には取締役の数を減らしたそうで、それよりも個々の経営幹部から全社員に至るまでコンプライアンスがキッチリしていれば、そういうカタチにこだわるのはナンセンスだとおっしゃいます。

 

 元々日本企業は近江商人の「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方良し」がロールモデルとされていたように、ビジネスを進める上での高い倫理観がベースにあったはずで、そういう原点に立ち返れば、軽佻浮薄な流行りに流されるよりもずっと”正道”を行けるはずで、元々の在り方に立ち帰る方がいいなじゃないかというご指摘には深くナットクさせられるところです。

 

 コロナ禍によって多くの企業が自社の在り方の見直しを迫られることになったはずですが、それでもある程度感染が落ち着いたら、”のど元過ぎれば”なんとやらじゃないですが、すっかり元に戻った企業も少なからずあるようで、でも、こういう危機を契機にいろいろ見直した方がよさそうですね…