英語の新常識/杉田敏

 

 

 1987年の『やさしいビジネス英語』に始まって、『ビジネス英会話』『実践ビジネス英語』と、2004~2006年に1年半ほどの中断期間はあったモノの、2021年3月まで足かけ34年に渡ってNHKラジオ講座でビジネス英語の啓蒙に携わり続けられた杉田先生の近刊があると知って、飛びつきました!(笑)

 

 どこが「やさしい」んじゃ!?と言われた『やさしいビジネス英語』時代にワタクシも杉田先生の番組を聴き始めたのですが、当時まるで歯が立たず、ありがちな「どこが「やさしい」んじゃ!?」という声に激しく同意したのですが、かなり多かったであろうそういう声に対して答えた杉田先生の回答が、この番組の内容を「やさしい」と感じたら英語をビジネスで使えると思って間違いない!とおっしゃられていたのを見て、多くの英語学習者が、ある意味絶望を感じたことでしょう…

 

 ただ、それでも多くの人が番組に食らいついて英語をモノにしたということで、ワタクシも断続的に番組に取組んで、曲りなりにそれなりに英語でのコミュニケーションのスキルを身に付け多少は仕事でも英語を使っていた時期があったのですが、ついぞ杉田先生の番組を「やさしい」と思えることはありませんでした…それでもワタクシに取って、杉田先生はまぎれもなく英語学習におけるカリスマでした。

 

 思い入れが大きすぎて前置きが長くなり過ぎましたが、この本は杉田先生が紹介される英語の最新トレンドの紹介とも言った内容になっています。

 

 『やさしいビジネス英語』でも、ビニェット(題材となる会話である会話を、こう表現されていました…)の中で、実際に本場でリアルタイムに使われている表現を取り入れられることにこだわられていた杉田先生だけに、最新の英語のトレンドに興味をそそられます。

 

 やはり最近は、ただでさえ高かったPolitical Correctnessに対する意識が、かつてなく高まっているようで、タブーとされる表現の範囲がかなりの変遷を見せているようで、しかもその厳しさも、未だGender Gapの激しい日本では想像を絶するレベルです。

 

 例えば、ワタクシが最初に英語を習った頃には、敬称として、男性のMr.に併せて、女性の敬称としては、既婚者に対するMrs.と未婚者に対するMissと習ったのですが、その後、既婚未婚で区別することはオカシイということで、女性には既婚未婚に関わらずMs.という敬称を使うところまでは意識していたのですが、最近では男女関わらずMx.という敬称を使うようにするムーブメントが大勢となっているようです。(逆に、同性婚カップルが既婚であることを強調するために敢えてMrs.を使おうとすることもあるようです。)

 

 さらにはGenderに関する区別が英語では100種類以上もあるようで、欧米のPolitical Correctnessに対する意識の高さに驚かされます。

 

 そういうモノが一例として、あくまでも語学というのは、こういう活きたモノであるということを念頭に置いた上で取り組むことの重要性を変わらず提唱され続けられていることに嬉しくなると共に、ワタクシもまだまだガンバらないとなぁ…と思わされました!(笑)