ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本/嶋田毅

 

 

 ”知の怪人”佐藤優さんやAPU学長の出口治明さんなど、昨今日本を代表する知性が、日本の教育における文系/理系の区分について苦言を呈されていて、日本のビジネスパーソンの少なくない人たちが理系科目の素養がアヤしいことでハンディを背負っていると言われます。

 

 ワタクシ自身も中小企業診断士試験を受験していた時に、財務会計の試験で企業の現在価値の計算などでヒィヒィ言っていたのを思い出しますが、考えてみればこれ位のことはラクラクにこなせないと企業経営も覚束ないことを思えば、多くの私大文系学部で理系科目の受験を課さないからといって、こういう分野の学習をサボるべきじゃないんだろうなぁ、とは思います。

 

 ということでこういった本を手に取ってみたのですが、ビジネスパーソンとして身につけておくべき数学というのは、必ずしも難解なモノばかりではないということを聞いて多少ホッとします。

 

 執筆者の嶋田さんによると、ビジネスで必要とされる数学の知識はかなり限られた範囲だとおっしゃられていて、一次関数や指数関数、確率など中学校で習う領域や標準偏差くらいで、微分や二次関数はほとんど出てくることは無いということです。

 

 しかも、第1章が割り算と聞いてかなり安心するのですが、この割り算というのがビジネスをする上でかなり重要だということで、ワタクシ自身も会計を勉強している中で指標を分解する中で割り算をすることで企業のパフォーマンスを見える化できることにカンドーしたことを思い出します。

 

 また、1次関数も損益分岐点分析などに活用するということを、言われてみればそうだなぁ…と思いますし、中小企業診断士試験で苦労させられた企業価値も概念的には割とシンプルで、今や実際の計算はExcel先生におまかせということで、実際の計算よりも概念の活用という意味に重点が置かれるので、数学が苦手だったからと言って過度に怯える必然性はかなり低いようにも思えます。

 

 ということで、学生時代のアレルギーを一旦置いておいて、数学の概念とビジネスの関わりを認識することで、数学との仲直りができるキッカケにもなるかもしれませんよ!?