笑って、泣いて、考えて。永六輔の尽きない話/さだまさし

 

 

 永六輔さんとさだまさしさんの対話をまとめた本です。

 

 元々、さださんは少年期に永さんがテーマ曲を作詞された紀行番組『遠くへ行きたい』で旅に覚醒したということもあって、永さんに憧れていたそうなのですが、歌手としてデビュー後、さださんのデビューを支援したという詩人宮崎康平さんを通じて知己を得て、永さんにかなりかわいがられたようで、さださんも永さんの知見から得るところが多かったようで、多忙な中にあっても、永さんから話を聞く機会は何よりも優先されていたようです。

 

 そんな中で、永さんの知見を何とかカタチとして残したいということで、療養中の永さんとの対談を本として残そうと3回の対談を企画されて、この本に2回分が収められているのですが、3回目は永さんの逝去で実現することが無かったということです。

 

 この対談は、お互いよく知った仲であるお二方の親し気な会話が、割とそのままのカタチで収められているようで、背景を知らないとわかりにくいことも多く、割と永さんの話があっちこっち飛びまくるので、脈絡を追いかけようとすると挫折してしまいそうなのですが、テレビの黎明期を支えた永さんや黒柳徹子さん、小沢昭二さんといった方々の交流や知見がふんだんに盛り込まれます。

 

 さださんも含めて、あまりにも幅広過ぎる交流が、様々な化学反応をもたらす様子が興味深く、永さんがお元気なうちにもうちょっとまとまったカタチで残されるモノがあってもよかったのになぁ、という気もします。