古市さんが『楽観論』って”っぽい”よなぁ、と思って手に取ったのですが、体系的に楽観を述べているワケではなく、週刊新潮に掲載されている『誰の味方でもありません』の連載のエッセイのその後ということで、帯にこういう書き方をするサギ的な売り方なんとかしてくれないですかねぇ…
まあ、飄々とした古市さんの生き様そのものが『楽観論』といえば、そんな気もするので古市さんが語ることそのものが『楽観論』なのかも知れませんが…
この本では連載の2018~2020年の掲載分をカバーされていて、前作とは異なり、あまり社会学者としての側面は前面に出ていなくて、むしろ作家としてのスタンスを強調されているようにすらにも思えますが、コロナ禍に突入する中、世相へのナナメからの観点に基づく時折見せるスルドい考察は、社会学者としての性なのか、単に古市さんのキャラなのか…
特に印象的だったトピックが、コロナ禍を受けての国家のサイズ感について語られた回で、民主主義国家において日本のように億を超える人口を抱えてしまうのは、システム論的に言うとサイズオーバーなんじゃないか、ということを述べられていて、コロナ対応で中国が人権を二義的に考えた対応で成功を収めたことに言及された上で、ある程度の人口迄しか扱えないんじゃないかということはかなりナットク感が高く、ある程度人口が限られている北欧の諸国が成功例として取り上げられることが多いのを見ても、妥当性があるんじゃないかと思われます。
まあ、古市さんの語りについては好みが分かれるところが多いので、一概には言えませんが、サギ的なオビの記載に騙されましたが、個人的にはそれなりに楽しめました。