「のび太」という生きかた/横山泰行

 

 

 『ドラえもん』の主要キャラでダメキャラとされる「のび太」を範に取った成功法則本というなかなか斬新な切り口の自己啓発本です!(笑)

 

 作者の横山さんは教育学を専門にされているのですが『ドラえもん』の描写を詳細に分析することによって教訓を見出す「ドラえもん学」を提唱されていて、この本もその研究の一環だということです。

 

 のび太はダメキャラとして描かれているモノの、ドラえもんもサポートを得ながら結局はヒロインであるしずかちゃんとの結婚にこぎつけるということで「成功者」だとされているのですが、結局しずかちゃんに認められるに至った要素について分析されていて、コンプレックスを感じられている人であっても、「成功」につながる行動を見出せるんじゃないかということで、かなり細かいことを踏まえて「教訓」を抽出されています。

 

 ドラえもんに助けられてばかりというイメージの強いのび太ですが、意外とチャレンジ精神にあふれているということで、ひみつの道具という背中を押すキッカケというモノはありながらも、まあまあハードに見えるチャレンジをしているということもあって、ドラえもんにいろいろと泣きを入れながらも、頑張っていることを再認識させられます。

 

 また何よりもしずかちゃんがのび太と結婚する決め手となったとされている「思いやり」について強調されており、イジられたりといった関係性はありながらも、それでもよい関係を保っているということがいずれ成果につながるんじゃないかということで、なかなか懐かしくも興味深く読めました。