なぜ世界を知るべきなのか/池上彰

 

 

 小学館Youth Booksという「10年後世界を変える君たちへ」というキャッチフレーズで10代をターゲットとした新書シリーズの1冊で、池上彰さんが語られる「世界を知ることのススメ」です。

 

 コロナ禍も終焉を迎えつつあり、海外旅行の制限などが解消されたのを機に、海外を見てほしいということで出版されたようですが、近年日本から海外への留学生が減少するなど、どんどん若年層が内向きになっていっている傾向があるようで、そういった状況を払拭したいという意図もあるのかもしれません。

 

 コロナ禍一つとってみても、日本はひたすら国民に自粛を促す方向性にあったのに対して、世界のコロナへの対応の違いなどを紹介して、「常識」というモノが実はかなり限られた範囲でしか有効ではないことを、実際に海外で様々な経験をすることで実感することを推奨されています。

 

 また、この本ではハッキリと明記されているワケではないのですが、色んな考え方を持つ人がいることを実感することで、無知や偏見に基づく差別やヘイトといった偏った行動を避けることにつながるのかもしれません。

 

 後半に、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララさんや、一人で始めた環境保護運動を世界的なムーブメントにしたグレタさん、香港の民主化運動を主導した周庭さんなど、若くして世界に影響を与えた人たちを紹介されていますが、日本だと若いからそんなに大きなことはできないとしり込みをしてしまうこともあるかと思いますが、世界にはこういう人がいるんだ、ということは、親としてマララさんやグレタさんのようになって欲しいかというと、ちょっと悩ましいところはありますが、何かを行動に移そうかとするときに背中を押してくれるネタになるかもしれません。

 

 実はこの本、次女が買ったのを借りて読んでいるのですが、是非とも彼女にもこの本に触発されて、色んな国に興味を持って、実際に訪れて見分を広めてほしいモノです。