『妻のトリセツ』から始まった家族の「トリセツ」シリーズですが、今回は「息子」がテーマです。
これまでの「トリセツ」シリーズを取り上げてきた際に、ご自身の息子さんへの溺愛振りにも触れましたが、ちょっと常軌を逸した感じもあり辟易とさせられることもあって、この本を手に取るのもちょっと躊躇したのですが、そういったところもモチロンありながらも、「はじめに」で「さて、それでも「母も惚れる男子」の育て方、とくとご覧あれ。」と自信満々に宣言されているように、脳科学の知見をふんだんに交えた、ある意味革命的な「子育て本」となっており、男の子を育てられている方には是非とも手に取ってもらいたいモノです。
基本的には、女性に共感できる男性を育てるということなのですが、大きな方針としては、降り注ぐほどの愛を惜しみなく与えるということで、母乳も子どもと自身がナットクするまで与えて、抱きグセなんか気にせずに泣けば惜しみなく抱っこし、好きなようにしても、結局自立するときには自立するということで、とにかく「甘やかす」ことをススメられています。
たしなめる時にも戒めるような感じではなく、「それって男の子として、カッコ悪いよ!」といって、その子の美意識に訴えることで自律的に行動を律するように促すようにされていたようです。
黒川さんの息子さんは、かなりマイペースに育ったようで、学校に行き始めた当初は周囲とかなり様相が異なったようでですが、黒川さんご自身がブレることはなかったようですし、学校の先生も息子さんをありのままに見守ってくれたというところは僥倖と言えるかもしれません。
そうやって育てた息子さんは、女性に寄り添える男性になって、素晴らしい女性を伴侶として迎えることができただけではなく、エンジニアとしてリッパに務められているということですが、実は、偉人の中にはそういう女性脳的な資質を持つ方が少なくないようで、アインシュタインは死後、解剖された際に、右脳と左脳をつなぐ脳梁が女性並みに太く、かなり女性脳的な要素が強かったようですし、スティーブ・ジョブスも言動などから見ると、そういう傾向が見られたということです。
確かに、学校の勉強なんかを見ると、なかなかこういうマイペースな感じだと親としてはハラハラするかもしれませんが、「天才」を育てるためには、お母さんの側もおおらかに、ただただ愛を注ぎ続けた方がいいのかもしれず、お母さん側の覚悟が試されるような気がします。