中国人のお金の使い道/中島恵

 

 

 中国ウォッチャーとして知られる中島恵さんの2021年出版の著書で、コロナ禍以前の状況にはなりますが、中国人のお金の使い方について紹介された本です。

 

 元々、都市部で住宅として比較的安価で払い下げられた土地が経済成長によりその価値が爆謄したことを契機に発展した中国における消費の驚くべき拡大について紹介されていて、長年中国人の動向を追われていた中島さんの中国人観が根底から覆るほどの消費行動の変化がみられるということです。

 

 高騰した住宅の転売を契機に、さらに投資用の不動産を購入して転売するという繰り返しにより巨万の富を手に入れる人々が続出し、そういった経済の拡大を契機に子弟への教育への投資の拡大、さらには派生的な支出の拡大ということで、かつてはかなり慎重な消費行動で知られた中国人が、それこそ湯水のごとくおカネを使う様子に、中島さんは中国人のそれまでを知っているからこそ、心底驚かれたようです。

 

 かつての日本のバブル経済のことを思い起こすところがありますが、そういったモノを反面教師にしている部分もあるのか、かなり洗練された消費行動につながっているところもあるようです。

 

 コロナ禍のゼロコロナ政策により、不動産バブルの崩壊も取りざたされる昨今ですが、そうなると世界的な恐慌を引き起こす恐れすらあるので、動向が気になるところですが、今後もこう言った積極的な消費行動が継続されるのかも、中国人のインバウンド客を期待する日本経済としても、目が離せないところかもしれません…