未来の年表/河合雅司

 

 

 産経新聞論説委員であり、人口問題を研究されていて大学で教鞭も取られている方の著書です。

 人口減が大きな問題になるんだろうなぁ、ということはなんとなく感じていたのですが、この本で紹介される人口減少後の日本の未来像には戦慄すら覚えるほどの凄まじい惨状です。

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した2017年版「人口統計資料集」によると西暦3000年には日本の人口は2000人になる(2000万人じゃないですよ!“2000人”ですよ!?)ということで、そうなると最早日本は国家として維持していくことが不可能であるということを、暗に国家機関が予測しているワケです。

 河合さんはこういう人口減少に伴う日本の危機を「静かなる有事」と呼んで、その深刻さに警鐘を鳴らし続けているのですが、“声”の大きなオトナたちは、どーせ自分たちが死んだ後のことだということで、あまりマジメに考えようとしないので、コトが動きにくいようなのです。

 さすがに政府はヤバいかも…ということで、安倍政権は少子高齢化対策に取り組み始めていますが、いずれも決定打に欠けるモノだと評価されていて、このままだと「人口統計資料集」の予言通りとなりそうです。

 さすがにここから大反転して人口増を測ろうというのは現実的ではないということで、河合さんは「戦力的に縮む」というコンセプトを提唱されていて、一部の都市で計画されているコンパクトシティのように、生活に必要なモノを限られたエリアに凝縮するといった考え方です。

 これは国家を挙げてマジメに取り組んで行かないと、とんでもないことになりそうです…