未来の地図帳/河合雅司

 

 

 近未来の日本における人口減少を追った『未来の年表』『未来の年表2』に続く第三弾です。

 

 前2作では、2045年頃という近未来に日本の人口がどれくらいまで減少して、社会はどのようになっているのか、最悪の事態を避けるために「戦略的に縮む」ための手法を提案されていたのですが、この本ではもっと具体的に各自治体がどのような状況になるかということをシミュレーションされています。

 

 わずか20数年後なんですが、秋田県など都道府県レベルでも存亡の危機を迎えるところがあるという衝撃的なレポートを冒頭で紹介されていますが、全体的なトレンドとして、当面は東京とその通勤圏では一旦人口増が見られるものの、それ以外の地域では例外なく人口減少が顕著で、地方の中核都市だけではなく、大阪や名古屋といった大都市圏でも人口減少を強いられるということで、それらの周辺都市であり、ワタクシの出身地である神戸の人口減少が顕著だということです。

 

 もっと地方都市だとより事態は深刻で、ワタクシの現在の自宅がある奈良県では、野迫川村など、ごく数年先に自治体としての維持が困難だとされるということを紹介されています。

 

 この本の出版が2019年ということで、安倍政権の時期なのですが、安倍首相が、河合さん曰く、可能性の低い人口維持を志向する政策をとったことで、官僚が思考停止に陥ってしまい、すぐそこに見えている人口減少の際の対応についての想定が欠落してしまい、無策のまま人口減少に陥らざるを得ない状況になっているようですが、ホントにこのままでいいの!?と思うしかないほど、状況は切迫しているようなのですが…