腰痛は「動かして」治しなさい/松平浩

 

 

 NHKなどでも大々的に取り上げられていた腰痛解消の方法論を紹介した本です。

 どうしても腰痛を患うと、動くのが怖くて安静にしたくなるものですが、実はそれが腰痛を悪化、慢性化させる元だということです。

 腰痛には、骨折や腰とは別のところの疾患に起因する痛みがあって、そういう場合は何らかの治療が必要なのですが、そうでない腰痛…椎間板ヘルニアも含まれるそうですが…については、可能な範囲で動かすことで、痛みが軽減するということで、最も簡単なところでは、後ろにカラダを反らすだけで、相当な効果があるということです。

 にわかに信じがたい部分もあるのですが、確かにジッとしていることで腰痛が増えるということも実感しているので、ワラにもすがるキモチでやってみたいと思います。

 

悪の起業学/大村大次郎

 

悪の起業学

悪の起業学

 

 

 元国税調査官・大村さんによる起業本です。

 以前も大村さんによる起業本を紹介しましたが、この本も『悪の~』と言いながら、内容は極めて真っ当です。

 この本でも各自治体のモノまで含めて、中小企業支援の施策を事細かに紹介されて、支援の活用をススメられていると同時に、法人組織・個人事業のいずれを取るか、青色申告・白色申告のいずれを取るかの判断の基準も細かく紹介されています。

 特に強調されているのが、ご専門だからと言うだけではなく、そこで思わぬ苦労をされている起業家の方が多い「納税」のことです。

 多くの起業本は、税金のことなんて稼げるようになってから考えればよいといったスタンスなんですが、起業の形態なども含めて、納税のことを予め念頭に置いてデザインしておかないと後で困ることになってしまいかねないということを指摘されています。

 特に国税庁のワナにハマって、青色申告をする起業家が少なからずおられるということですが、起業家に取って多少のメリットが用意されているとはいえ、多くの起業家にとってメリットは少なく、徴税側の都合にハメられているに過ぎないので、安易にそちらを選択すべきではないとおっしゃいます。

 結構、実務面での内容が多いので、起業が具体化している人に向いている本です。

 

めんどくさがる自分を動かす技術/冨山真由、石田淳

 

めんどくさがる自分を動かす技術

めんどくさがる自分を動かす技術

 

 

 行動科学の石田さんのお弟子さんにあたる方が、師匠の石田さんと共著というカタチで出版された本です。

 石田さんの著書を読んでいる方は、かなりの内容が被っているので、敢えて手に取るまでもないとは思うのですが、若手のビジネスパーソンにとっては、身近な例で行動につなげるコツが満載なので、手元に置いておくといいかもしれません。

 押しなべて、自分の思考を明確にすることが行動につながることが多いようで、その辺りは、あまり石田さんが触れられていなかったことなので、参考になります。

 何か1つでもモノにできる行動があれば…位のつもりで手に取ればいいんじゃないでしょうか?

 

 

週末鉄道旅行/ニッポン鉄道旅行研究会

 

週末鉄道旅行 (宝島社新書)

週末鉄道旅行 (宝島社新書)

 

 

 鉄道に乗る旅の愉しみを紹介した本です。

 ワタクシ自身、中学生の頃は今でいう「乗り鉄」として、ただただ鉄道に乗るために旅行に出かけたモノですが、海外旅行の経験を経て、さすがに鉄道ばかりの旅からは離れていたのですが、図書館でこの本を見て、気になったので手に取ってみました。

 ただ、ちゃんと著者を見るべきでした…

 一体、この本は誰に向けて書かれているのでしょうか?

 多少、「乗り鉄」を広めるために一般ウケを意識した要素があるかと思いきや、一般の人がそんなに一日中乗りっぱなしを望むとは思えないですし、マニア向けとしては、深みに欠けるプランだし…

 おそらく「乗り鉄」たちの自己満足なんでしょうね…

 

逆境を乗り越える技術/佐藤優×石川知裕

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんが、小沢一郎氏の元秘書で政治家の石川知裕さんと「逆境」を語ります。

 ともに鈴木宗男氏に近かった時期があり、かつ片や小沢氏、片や鈴木氏を逮捕するための国策捜査における「階段」として有罪判決を受けたということもあって、石川さんが佐藤さんにアドバイスを求める関係にあったとのことです。

 ということで「逆境」を語るのにこれほどふさわしい取り合わせも珍しいという気もしますが、結構石川さんの方は精神的に追い詰められて、うつ直前まで行ったこともしばしばあったということですが、佐藤さんのサポートで持ちこたえたこともあったようです。

 「逆境を乗り越える」とありますが、いざ「逆境」が来た時にどうするかということを予め想定しておいて、そういう「逆境」を防ぐ為にやっておくこと、「逆境」が来ても対応できるように準備しておくこと、「逆境」の最中に置かれてもできるだけダメージを少なくなるように対処できるようにしておくことといった段階ごとの対応を意識しておくことで、実際に対応を行うにあたっても、対処する際の精神面においても、メリットが多いようです。

 特に気になったのが、昨今日本人の思考力が低下していると指摘されていることで、だからこそポピュリズムが蔓延していることや、インパクトのあるコトバに流されてしまうのでしょうけど、思考力を鍛えるために、少しホネのある本を読んでおくことが重要なようです。

 

もの言うキャスター/大越健介

 

 

 以前NHKの『ニュースウォッチ9』でメインキャスターを務められて、歯に衣着せぬ直言で人気があり、あまりの直言が安倍首相の勘気に触れ、官邸からの圧力でキャスターを降板したとのウワサまである大越さんがキャスター在任中に番組のHPに週一で執筆されていたエッセイを集めた本です。

 大越さんが人気があったのは、どうしてもテレビに出演される人たちって、やっぱり「あちら側」の視点で語られるのが通例で、そんな中で「こちら側」の視点で語られていたためなのかな、とこの本を読んで改めて感じましたが、やっぱり「あちら側」の論理でいうと、ケシカラン!ということになってしまったのかもしれません。

 大越さんがキャスターをされていた間には東日本大震災や広島での集中豪雨などツラい出来事が多かったこともあり、ヘビーな内容のエッセイも多いのですが、そのことがより大越さんの「こちら側」のコメントにつながったのかも知れません。

 最後に究極の「こちら側」の池上さんとの対談が収められていて、こういう人たちをある程度許容するNHKって、意外と懐が広いのかも!?と思ってしまいます。

 

防衛省と外務省/福山隆

 

 

 自衛隊で軍事面のインテリジェンス活動に従事されていた方が日本のインテリジェンスを語ります。

 「知の怪人」佐藤優さんが外交面のインテリジェンスを紹介されるようになって「インテリジェンス」というコトバも一般的になっているように思えます。

 よく言われるように日本はインテリジェンス活動が諸外国と比べて貧困だということをこの本でも指摘されていますが、それは戦後アメリカの傘の下でのインテリジェンス活動ということで、依存体質が出来上がってしまったことと、元々日本人がインテリジェンス活動と相容れない性善説の考えを持つ人が多いことも原因の一つだとして挙げられています。

 ただ戦国時代には忍者などにより盛んに諜報活動が行われてきたように、必ずしも民族的にインテリジェンス活動への適性がないわけではなく、相対的にアメリカの影響力が下がり、中国が台頭している現状では、状況に応じた「健全な危機感」を持つことが重要で、そのことによりインテリジェンス活動への国民の理解が共感を得て、増強することが喫緊の課題だとおっしゃいます。

 それにしてもこの方、難しい内容もあるインテリジェンス活動について端的にわかりやすく説明されていて、例示も非常に的を得ていて、インテリジェンス活動をされる方って、文章力も秀でているモノなのかな、と驚きました。