グルメ多動力/堀江貴文

 

グルメ多動力

グルメ多動力

 

 

 堀江さんが、飲食店の経営から楽しみ方まで、外食にまつわる考えを紹介した本です。

 現在外食産業を取り巻く状況というのは、不況が最悪の状態を脱して一息つけたかと思いきや、人材確保に困難を極めるなど未だキビシイ状態にあり、著名な経営コンサルタントが成功させるのが最も困難な業種として飲食業を挙げるといったこともあったようです。

 堀江さんの「寿司の修行に10年なんてムダ」といった趣旨の発言がネットで炎上したことにも触れられているのですが、これまでの外食産業では品質至上主義的な考えが1つの大きな主流を成していたのですが、昨今はそれで集客につなげることが以前より遥かに難しくなっているようです。

 多くの人はそこまで細かい味の差がわからないというのもあるんでしょうけど、そこそこの味をキープできていれば、むしろエンタメ的な要素を強化した方が集客につながるということで、“インスタ映え”に代表されるようなSNSを意識した戦略が重要だということです。

 「ドタキャン」「食べログ」「人材確保」が現在の飲食産業の三大リスクだということなのですが、それもSNSの活用により克服できることが多いということで、成功店の店主との対談なども交えて方策を紹介されています。

 かつては気難しい店主が作るウマいモノというのももてはやされていましたが、今後はそういう独りよがりなものが成功することは難しいようで、如何に顧客(含む潜在顧客)とコミュニケーションを取るのかということが飲食店経営の成功のカギとなるようです。

 

0から学ぶ「日本史」講義 古代編/出口治明

 

0から学ぶ「日本史」講義 古代篇

0から学ぶ「日本史」講義 古代篇

 

 

 世界史関連で多くの著作がある出口さんですが、今回日本史にも進出されました。

 元々出口さんは「日本史」を世界史から独立したモノとして扱うことに批判的なのですが、世界史の中での日本の動きを見ていく趣旨で執筆されたということで、ある程度のウリが期待できる日本史本を出したい編集側のゴリ押しがあったんですかねぇ…

 タイトルに「0から学ぶ」とありますが、決して内容がカンタンだというワケではなくむしろ歴史を動かすテコとなった背景なんかを多く取り上げておられるので、結構ディープなことについても取り上げられているのですが、因果関係なんかを明確に示されているので、かなり理解しやすくなっているので安心してください。

 それにしても科目としての日本史では、特に古代においては諸外国との交流は取り上げられていなくて、せいぜい遣隋使・遣唐使白村江の戦い位なんじゃないかとおもうのですが、天皇家の黎明期から中国との関わりが強く、時には敵対し、時にはへつらい、時に学びということで、良きにつけ悪しきにつけ、時の中国の政権からの影響を大きく受けていたことを指摘されています。

 政治制度や史書に至るまで、出口さんは鹿鳴館政策になぞらえておられますが、唐に認められるような国家になるためにイジマシイばかりの努力をされていたようです。

 先日紹介した半藤さんとの明治維新についての対談本ではフラストレーションの溜まる内容だったのですが、この本では出口さん節全開で、「日本史」においても迫力のある書き手であることを存分に実証されています。

 今から中世編が楽しみでなりません!!!

 

誰も教えてくれなかったマラソンフォームの基本/みやすのんき

 

誰も教えてくれなかったマラソンフォームの基本 遅く走り始めた人ほど大切な60のコツ

誰も教えてくれなかったマラソンフォームの基本 遅く走り始めた人ほど大切な60のコツ

 

 

 以前『走れ! マンガ家ひぃこらサブスリー 運動オンチで85kg 52歳フルマラソン挑戦記!』を紹介したみやすのんきさんが、写真をふんだんに盛り込んだランニングフォーム指南の本を出されているのをシューズフィッターの方に教えてもらったので手に取ってみました。

 ケニア人のトップランナーのフォームの写真をもとにみやすさんが提唱する大転子ランニングの要諦を詳細に紹介されているのですが、日本人の実業団女子のトップランナーにダメな例のデモンストレーションをさせるというゼータクな作りとなっています。

 『走れ!マンガ家ひぃこらサブスリー』を読んでいるときにはイラストは添えられているものの、かなり細かいカラダの部位を指摘しての説明があってわかりにくかったところが、かなり詳細のチェックポイントに落とし込んで写真を添えて説明されているので、イメージ的にかなりわかりやすくなっています。

 これまで信じていた走り方と異なる部分が多いので戸惑いはあるのですが、おっしゃることはそれぞれナットク感の高い裏付けをもって説明されているので、手元に置いておいて徐々に走り方をカラダに染み付けて行きたいところです。

 

世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法/戸塚隆将

 

世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法
 

 

 以前『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』を紹介した戸塚さんがグローバルなビジネスの場で使える英語を身に付けるための手法を紹介する本です。

 タイトルに「シンプル」とありますが、英語自体のシンプルさということもありますが、ダイレクトに自分が必要とする英語でのコミュニケーションのスキルを最短距離で身に付けようという意図もあるのではないかと感じます。

 それは戸塚さん自身がハーバードビジネススクールに留学した際に、逡巡する間もなく津波のような質量で襲い掛かる課題に対応するために身に付けたモノを応用でもあると思うのですが、日本人は構文がどうのとか、語彙の量がどうのとか、知識レベルにこだわってしまうことがおおいのですが、余程切羽詰まった状況に追い込まれた人を除けば、じゃあ自分が英語を使って何をするのかという目的論的なモノを具体的に持っている人が少ないように思えるんだけど、実はそれこそが英語を習得しようとする上で一番大事だということを強調されています。

 また「英語を習得する」というマクロの部分だけではなくて、何かを伝えようとするときにそのキモの部分をちゃんと意識して表現を考えることで飛躍的にコミュニケーション能力が上がるということも指摘されています。

 ということで、テクニカルな習得法も理に適った良質な内容なのですが、英語を習得する目的意識の持ち方と言う、英語本では触れられることが少ないのですが実は一番重要だということを指摘された秀逸な1冊です。

 

平成史/佐藤優、片山杜秀

 

平成史

平成史

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんが思想史を専門とする片山さんと、今年の5月で終焉を迎える平成の世を振り返ります。

 昨年から、平成の世が終焉を迎えるのを受けて、平成を振り返る本がチラホラ出ているのですが、「知の怪人」佐藤さんが手掛けられるということで期待も膨らみます。

 佐藤さんの対談本というと、ついつい相手が佐藤さんの圧倒的な知性に飲み込まれることが多いのですが、この本では佐藤さんのメインのフィールドでないこともあって、ガップリと組みあった読み応えのある内容になっています。

 佐藤さんが手掛けるというと、どちらかというとカタメのトピックになるのかなと思いきや、結構世相史的な色彩が強いのが意外でしたが、それでも佐藤さんの博識ぶりは遺憾なく発揮されているところがオドロキです。

 特に世相を反映する映画やテレビドラマに関する指摘がいちいち核心をついているところに驚かされます。

 さらにメインの守備範囲の政治・外交史のところでは、これまでの著書で未出のエピソードも飛び出して臨場感ハンパありません。

 あとがきで片山さんが平成の総括をされていて、平成と大正の類似性について指摘されているのですが、明治や昭和というイケイケドンドンの時期を受けて、大きな災害があったり、頽廃的な空気感があったりと、言われてみるとミョーにナットクさせられます。

 このあとがきを読んで、また内容を読んでみたくなります。

 

 

1日10分走る青トレ/原晋

 

1日10分走る青トレ

1日10分走る青トレ

 

 

 新年早々、コチラのブログへの訪問ありがとうございます。

 今年も何とか毎日投稿していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 

 

 明日からの箱根駅伝に5連覇と史上初の2度目の大学駅伝3冠の偉業がかかる青学駅伝の原監督がこれからランニングをやってみたいと思っている人に向けて書かれた“ランニングのススメ”です。

 東京マラソン開始以降、空前のマラソンブームだと言われていますが、統計によると走り始めた人の8割は半年以内に止めてしまうんだそうです。

 その原因は故障だったり走るのがツラかったりするからだということで、“楽しく”走ることで青学を学生長距離界きっての競合に押し上げた原監督が初心者ランナーが楽しく走り続けるためのヒントを紹介されています。

 タイトルにあるようにまずは1日10分程度で1500mを走ることから始めようということで、少しずつ走ることにハマって行こうということのようです。

 そのためにはできるだけキレイなフォームで走るようにすることで、徐々に距離を伸ばして行く中でも、あまり負荷を感じずにかつ故障を避けながら楽しく走るためのトレーニングを奨められています。

 メインのターゲットはこれからランニングを始めようとする方々なのですが、ある程度のキャリアのランナーにとっても、我流で走って来られた人にとっては効率的で故障しにくい走り方が紹介されているので、かなり参考になるのではないでしょうか。

 ランニングがツラいと思って走るのを躊躇している方はこの本を見て、是非ともその気になって、年が改まったのをキッカケに走ってみてください!

 

池上彰の憲法入門

 

池上彰の憲法入門 (ちくまプリマ―新書)
 

 

 こちらも先日紹介した佐藤優さんの対談本の『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける―これだけは知っておきたい70のポイント』の推薦図書として挙げられていたので手に取ってみました。

 その本の中で佐藤優さんがこの本に関して、込み入った内容のことを、その意味するところを寸分も損なわずに、小学生にでもわかるように説明することができる池上さんの真骨頂だといった意味のコトバで絶賛されていたのですが、正にその通りの印象です。

 元々小中学生に向けて書かれた憲法に関する本を安倍政権の憲法改正への目論見が露わとなたことを受けて、大幅な改定を加えて再度出版されることとなったそうです。

 そもそも憲法というモノの性質から、日本国憲法の成立ち、条文ごとの解説を踏まえて、昨今議論を呼んでいる憲法に関わるトピックなどを解説されます。
 
 その後、憲法改正に関する論議について語られるワケですが、子どもに素朴に聞かれたら、絶対アウアウしてしまう9条と自衛隊の問題も、多少のレトリックはあるにせよ、かなりプレーンな議論を展開されていて、かなりナットク感が高いです。

 こういう風な基本的なところから憲法を振り返ることは昨今かなり重要度が高いことなのかも知れませんよ。

 

 今年も一年、このブログを購読してくださってありがとうございました。

 今年も無事、毎日欠かさず投稿することができました。

 来年も明日から早速投稿いたしますので、引き続きよろしくお願いします。