復活から常勝へ/渡辺康幸

復活から常勝へ―早稲田大学駅伝チームの“自ら育つ力

復活から常勝へ―早稲田大学駅伝チームの“自ら育つ力" (新潮文庫)

 ワセダの駅伝監督の渡辺さんの著書です。

 文庫本を手に取っているのですが、単行本で出た当時はまだ、総合優勝
を果たして居らず、その間文庫本になるまでで念願の総合優勝を果たされ
ることになります。

 あの頃は、今ほどマラソンや駅伝に興味は無かったのですが、それでも
渡辺監督の現役時代のことは、なぜかよく覚えています。
 それくらい、その活躍ぶりは鮮烈だったのです。

 天才ランナーと呼ばれ、箱根で大活躍し、ワセダの一時代を築きました
が、残念ながら故障が祟り、その後大成することはありませんでした。

 で、ワセダがどん底の中で、切り札たる渡辺監督に託された訳ですが、
恩師である瀬古さんも、このタイミングでなるべきではない、と反対さ
れた訳ですが、敢えて火中の栗を拾いに出たわけです。

 就任当初は、自分の現役時代と引き比べ、相当戸惑われたようですが、
この人がスゴイと思うのは、現役時代の自分の成功体験を押し付けること
をせず、あっさりと引っ込めてしまい、学生とよく対話をし、粘り強く
チームを作り上げたことだと感じます。

 他の大学が、大学全体のバックアップを得て、有望選手を刈り取って
行く中で、スポーツ推薦枠の限られたワセダが、バランスのよいチーム
を作り上げ、上位陣に食いついているのは、現役時代とは異なり地味な
印象ですが、渡辺監督の粘りが生きているからなんでしょうね。