F1地上の夢/海老沢泰久

 

F1地上の夢 (朝日文芸文庫)

F1地上の夢 (朝日文芸文庫)

 

 

 1964年に試行錯誤の中で参戦してから一時中断を経て、1986年にコンストラクター・チャンピオンとなるまでのホンダのF1での取組を描いた本です。
 
 元々、オートバイのメーカーとして成長したホンダが、4輪に進出し、その技術向上の一環としてのF1挑戦だったわけですが、技術者たちがギリギリの戦いに臨み、試行錯誤しながら勝てる”エンジンへと磨き上げていく戦いにおいて、安易に既成品に頼ることなく、“自前”を貫いたからこそ、当初の試行錯誤では激しく迷走したものの、1980年代後半の圧倒的な戦績を収めることができたということと、CVCCを初めとする先進的な技術を持つことに至った、ということのようです。

 ある意味、ユーザーとの接点を持ちにくい技術者が、世界最先端の最前線に直面することで、大きく成長していく姿は感動的です。

 現在は、1980年代後半ほどの成績が収められない状況ですが、それにめげず、こういうトライは続けてほしいものです。