歴史に「何を」学ぶのか/半藤一利

 

 『昭和史)』の半藤さんが若い人向けに歴史を学ぶ意義について語られます。

 まえがきにもあとがきにもそういう“趣旨”は書かれていないのですが、時折「あなた方若い人たちは…」といった記述があるので、基本的には若い人がターゲットなのでしょう…(こういうのはちゃんと編集でフォローしないといけないんじゃないですかね…!?)

 どっちかと言うと、大上段に歴史を学ぶ意義とは!みたいなことを論じるのではなく、この本が書かれた2017年前後に起こった事件を交えて、また半藤さん自身がなぜ歴史をテーマに著作を手掛けるようになったのかということも交えて、歴史を学ぶ意義を紹介されます。

 よく言われるように、歴史を学ぶ意義というのは、過去の“失敗”を将来繰り返さないために、というのが大きくて、人類にとっては如何に戦争の惨禍を避けるか、ということがかなり重要なテーマなのですが、昨今の情勢を見ていると第二次世界大戦が起
こった時の状況にかなり似てきているとおっしゃいます。

 というのも、アメリカにおいてトランプ大統領が誕生したキッカケとして、アメリカの内向きな志向が顕著になったことが挙げられますが、第二次世界大戦前も、ウィルソン大統領が提唱した国際連盟への加盟を否定し、モンロー主義という内向きの政策を遂行し、ドイツではヒトラーが政権を握り、国粋主義へと突っ走って行った挙句、第二次世界大戦につながってしまいました。

 現在も、アメリカの自国至上主義、イギリスの孤立主義的なBrExitなど内向きな政策が蔓延している上、北朝鮮と言う導火線もあり、非常に危険な状況と言えそうです。

 
 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言われますが、こういう状況の中で戦争を避けれるかどどうか、人類の英知が試されていると言われているんじゃないでしょうか!?