負けてたまるか!日本人/丹羽宇一郎、保阪正康

 

 

 伊藤忠商事の名経営者として名を馳せ、在中国全権大使も務められ、財界きっての読書家としても知られる丹羽宇一郎さんが、半藤一利サンと並んで昭和史の語り部として知られる保阪正康さんと、主に昭和史を通して「日本人」を語られた本です。

 

 「負けてたまるか!」と一見威勢のいい感じですが、大体全編を通して日本人のダメなところを語られている印象で、特に日中~太平洋戦争時に顕著なのですが、日本人って責任を取らないということを再三おっしゃっています。

 

 よく言われるように、同じ地位に複数名の人がいて責任をあいまいにするということもありますし、命令系統を複雑にして責任の所在があいまいになるようなこともあったようで、会社組織においては近年では欧米との付き合いもあって、それなりに責任の所在を明確にしたがる向きもありますが、政界などでは「責任を痛感しております」といいつつ何ら「責任を取」ったと思われるような行動をしない歴代総理大臣に顕著なように、あまり「責任」を取らないでもいいと思っているんじゃないかとすら思えてきます。

 

 さらには、元々鎖国の時期の影響もあって内向きになりがちな日本人の性向が、明治維新期や高度経済成長期など、ホンの一時期積極的に海外志向があったモノの、最近また内向きの志向を強めていて、そのことが日本人の均一化を進め、さらなる内向き志向につながって、若年層のバイタリティの低下にもつながっているんじゃないかと思わされます。

 

 ということで、特に若い人には海外での体験や読書によって、多くの体験を積むことを勧められており、そういう重層的な思考を身に着けることで、諸外国に対抗していかなければ、ということがあるようです。