恋のトリセツ/黒川伊保子

 

 

 『妻のトリセツ』の大ヒットに端を発して、『夫のトリセツ』『娘のトリセツ』など「トリセツ」シリーズは家族を一回り(「父」はスルーされていますが…(笑))して、今回のテーマは「恋」だということです。

 

 このテーマは出版社からの提案だったようですが、人工知能の研究者としては「恋」はかなり取り扱いに困るテーマであるようで、冒頭で「わけもわからず翻弄される、当事者でさえ説明もつかない恋心のありようを、どうやって機械に入力しろというのだろう。」とおっしゃれていますが、避けられないテーマでもあるようで、そうではあるけれども、どうやって扱ったものか…というのが正直なところのようです。

 

 黒川さんは、時折切れ味鋭い分析を披瀝することもあれば、逆にポエムに逃げ込むようなところもあるのですが、本作についてはほぼ後者になってしまっていて、正直男性脳のワタクシとしては、ご自身のご経験に基づくという「恋」の感覚的な描写はポエムそのもので、論理的な「トリセツ」を期待する向きには、まるで取り付くシマがないように感じるかも知れません。

 

 時折、脳科学的なフレーバーを散りばめてはいるモノの、大半のポエムにかき消されてロジカルな教訓を拾い上げることは、男性脳のワタクシには不可能でした…

 

 女性脳の方には、あるある!と共感満載なのかもしれませんが…