明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト〔完全増補版〕 (講談社文庫)
- 作者: 原田伊織
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/15
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
“アンチ薩長史観”本が続きます。
“アンチ薩長史観”本に共通して流れているのが“新政府”側というのはあまり品のよろしくない人たちがかなりムチャなことをやった結果“明治維新”が成立し、有体のままに後世に伝わったんじゃマズイということで美化するために“旧幕府”側の抵抗…みたいなことを書かれているワケですが、これまた共通しているのが著者自身の個人的な感情が割と前に出てきているところなんでしょうか…
実は鳥羽伏見の戦いの際に徳川慶喜が戦意喪失した原因となる“討幕の密勅”というのは実は、大久保と岩倉が企んで“偽造”したもので、その証拠が未だに残ってるとか…当時の知識階級であれば、想像すらできないような“蛮行”のようですが、そういうことを平気でできてしまうところが、教養の無さに起因すると指摘されています。
あと吉田松陰を始めとする長州の“志士”たちは単なるテロリスト集団であると断じておられて、確かにやっていることはテロそのもので、言われてみればそうなんですが、今までそう感じさせなかったところが、薩長のイメージ戦略の巧みさなのでしょうか…
テロリストと言えば廃仏毀釈なんて、正にタリバンやISがやっていることと変わらないですよね…
前に紹介した『明治維新という幻想』では、慶喜を血祭りにあげようとした代わりに、とありましたが、この本では会津戦争は単なる長州の私怨を晴らそうとするものに過ぎないということで、とても聞くに堪えない所業を紹介されます。
といったカタチで“薩長史観”に隠された「真実」が次々と明らかにされるワケですが、400ページ近くに渡り単なる不平老人のグチを聞いているようで、非常に読みにくかったというのが正直なところです。
もうちょっと抑えたトーンで知的好奇心をくすぐるようなアプローチができなかったんですかね…その方が、ずっと共感を得られたのに…