もっと言ってはいけない/橘玲

 

 

もっと言ってはいけない (新潮新書)

もっと言ってはいけない (新潮新書)

 

 

 2016年に出版されて大きな論議を引き起こし2017年新書大賞を受賞した『言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)』の続編なのですが、その中で取り上げれていた「タブー」の中でも最もセンシティブとも言える、遺伝と知能の相関にフォーカスして語られます。

 こういうテーマって人種差別につながる恐れが多分にあるので「タブーの中のタブー」だと日本では思われがちですが、逆に欧米ではそういうところの是正を意図して研究が進んでいるようです。

 そんな中でもこの本ではイギリスの認知心理学者であるリチャード・リンが2006年に発表した『Races In Intelligence(知能における人種的ちがい)』を大きく紹介しておられて、その研究結果を元にすると歴史的な推移や進化の状況で説明できることが多いとおっしゃいます。

 さらに東アジアの人々が内向的である傾向や日本が戦後に奇跡的な経済成長を遂げた秘訣、昨今の欧米における極右政権の台頭など現代に至るまでの様々な現象をIQで測った遺伝的な認知機能の序列によって説明がしやすくなるということで、ある程度の妥当性が見られることでなかなか衝撃的な内容です。

 そんな中でグローバル化が進展し、地域的な影響が極小化された現代において、世界の中でも比較的知能が高いとされる中国が台頭してきたのは必然的だったのかもしれません。