橘さんが『週刊プレイボーイ』誌の連載のために書かれたコラムから「事実vs本能」に沿った内容のモノを集めた本です。
ここのところ橘さんは『言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)』からの流れで、日本ではタブーとされていてメディアや書籍などで触れようとしないトピックについて、敢えて事実はこうなっ
ているからということを触れて、固定概念や忖度から自由になって“事実”をベースに、「不都合な真実」であっても目を逸らさず世の中を見ることを提唱されていて、類似
のテーマで書かれて2019年上半期にベストセラーとなったハンス・ロスリングさんの『
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』にも再三触れられています。
そんな考えの中で時事的なトピックを“事実”に照らして分析されているのですが、その前提として現在の日本人のリテラシーについて、
1. 日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。
2. 日本人の3分の1以上が小学校3~4年生以下の数的思考しかない。
3. パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
4. 65歳以下の日本の労働人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。
という驚くべき“事実”を紹介されていて、日本の多くの企業では、数少ない1~4がこなせる人材を前提にしていることから、多くの人がフツーの職からアブレてしまって、社会に様々な歪みが生まれ、通り魔的な殺人やレイシズムなどといったカタチで現れてきているようです。
それは日本だけの現象ではないようで、トランプ大統領を生むことになったプア・ホワイト層も似たような文脈で捉えることができるということです。
そういう“都合の悪い事実”はそれ以外にもそこかしこにあるということですが、メディアはそれぞれの都合で、そういったことから目を逸らして、多くの人はこれらの“事実”を認識することは無く、よくわからない不安感に苛まれてしまっているのでしょう…
そういう意味でもこういう本をキッカケに“事実”ベースで物事を見るクセをつけることが、「黄金の羽根」を見つけることにつながるのかも知れません。