AI経営で会社は甦る/冨山和彦

 

AI経営で会社は甦る

AI経営で会社は甦る

 

 

 以前『なぜローカル経済から日本はよみがえるのか』を紹介した冨山さんがAIに関する本を書かれているのを知って手に取ってみました。

 『なぜローカル経済から日本は蘇るのか』では、従来の大企業と中小企業という分け方では、日本での経営環境を把握しにくいだろうということで、G(グローバル)とL(ローカル)の区分で見ることで、より本質的な課題やビジネスチャンスを見極められるということを提唱されていましたが、この本ではC(カジュアル)とS(シリアス)という軸を提示されて、GLの軸とCSの軸で構成される4つの象限のうち、今後の日本はAIやIoTが進展する世の中で日本の産業界が生き残って行くカギになるのではないかと指摘されています。

 これまでIT革命と言われるビジネスの変革において、確かにITでもクリティカルなモノを扱うことはあったのですが、ITがもたらしたイノベーションでは、G&Cの象限に関わるモノが多かったと指摘されています。

 今後AIやIoTが発展していく中で、ITがリアルな現場と対峙することが否が応でも期待されるワケで、そこが今後のITの価値を増していくにあたっての真価とも言えるワケですが、ITとリアルな現実との乖離をすり合わせて行くことこそが、ものづくりででミクロの調整を重ねてベストプラクティスを見出してきた日本の産業界こそが、そういった期待を担うにふさわしいとおっしゃいます。

 IoTはともかくAIでは、アメリカや中国のはるか後塵をはしているのかと諦めていましたが、そういった生き残りの術があったんだな、と勇気づけられます。