人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか/水野和夫

 

 

 本日は『精神科医が教えるストレスフリー超大全』の推薦図書の紹介は一旦お休みです。

 

 先日、水野先生と社会学者の大澤先生の対談本『資本主義という謎』を紹介しましたが、なかなか難解かつ、大澤先生のビミョーなツッコミに右往左往しながらも、何か深い示唆があったなあ、と思ってこの本を手に取ってみました。

 

 現在は法政大学で教鞭を取られている水野先生ですが、この本を出版された2007年は三菱UFJ証券のチーフエコノミストとして活躍されていた頃だということで、どこか投資レポートっぽい、かなり込み入った、『資本主義の終焉と歴史の危機』よりもさらに手強い内容となっており、大澤先生はただの賑やかしでもなければ、話の腰を折っていたのでもなく、そのままじゃ難解すぎる水野先生のお話ですが、実は読者の理解を促していたんじゃないかと思い返したくなるほど、手強いモノでした…

 

 この本が出版されたのは第一次安倍内閣のことだということで、先代の小泉内閣での経済政策を受けて格差が拡大しつつあった時期で、かつインターネットが本格的にビジネスでも活用され始め、グローバル経済が加速し始めた時期にあたっていて、そういうグローバル経済の進展というのを、ついついツールありきで見てしまうところがあるのですが、実はそれまでの大国間の覇権争いと、そんなに変わりがないということを指摘されていたのが意外でした。

 

 で、結局そうなるとアメリカの一国支配みたいなことに収斂されていくということと、国家よりもグローバル企業の影響力が相対的に大きくなっていくことを指摘されているのですが、当時まだそれほど名の通っていなかったはずのGAFAのような企業の台頭を予言されています。

 

 もっと深いところで理解したいので、正直クヤシイところはあるのですが、このあたりがワタクシの理解力の限界です…