定年後のお金/楠木新

 

 

 かなり久々に楠木さんのリタイア本です。

 

 元々、生命保険会社出身の楠木さんですが、おカネを正面から扱った本は初めてなんだそうです。

 

 ビジネスパーソンのメンタル関連の本から、ご子息の就活とご自身の人事部員としての採用の経験を活かした本、人事部から見た会社のカラクリに関する本と次々とウリを変えて行って、リタイア後は、リタイア関連の本でも次々とヒットを飛ばしている楠木さんですが、多くの人に取って一番関心があるんじゃないかと思う内容なのですが、いつもの楠木さんと比べるとちょっと難易度が高いかな!?という気がします。

 

 老後のおカネの不安について言及されているのは、まずは大多数の人が、リタイア後にどれくらいの収入と支出があるのかを把握していないということで、まずはそれを名確認しておきましょう、ということなのですが、ここでこの計画を立てるのに、複式簿記的な記録をすることをススメられているのですが、多くの人にとってはちょっとハードルが高いかも知れません。

 

 要するに各年度ごとの収支がどれくらいかを把握しようとすることで、老後に準備すべきおカネを考えようということなのですが、その際、人生100年時代とは言われますが、とりあえずは75歳まで健康で過ごせたと仮定するといったような割り切りをしない限り、なかなか計画が成り立たないことが多いということです。

 

 そういった中で、如何に”活きた”おカネの使い方をするかというのが、リタイヤ後の人生の充実に関わるので、そういったことのためのおカネには惜しまず投資することを勧められています。

 

 ただ、リタイヤ直後に退職金目当てにやってくる金融機関に丸投げの投資をやめておくとか、固定的に出ていくおカネを見直すとか、出る方のコントロールをした上で、という条件は付くようです。

 

 日本のサラリーマンをリタイアした人たちは、会社の経費を使ってきたので、どうも自分のおカネを使うのがヘタなことが多いんだそうですが、あまり守り過ぎるのも、リタイヤ後の人生がツマラなくなってしまうので、多くの人にとっては、ある程度の思い切りを意識した方がいいようですよ!