”知の怪人”佐藤優さんが50歳代に向けた”処世術”を語られます。
この本は2020年1月と、比較的近作なのですが、最近佐藤さんは将来のエリート層に向けた教育に注力されていることもあって、結構上昇志向的なイメージを抱いていたのですが、この本はどちらかというと、早めにそういうのを諦めた方がシアワセになりますよ、といったニュアンスが強く感じられて、ちょっと意外な気がしました。
ワタクシを含めて、50歳代ともなると、特に組織に属している人にとっては、はっきりと”到達点”が見えてしまって、落胆したり、もしくは現状を打開するために転職や企業といったカタチで飛び出したりする人もおられると思いますが、その先の人生を充実させることを考えると、キャリアを優先させるよりも、プライベートな人間関係を深めることを優先させる方を勧められています。
特に、家族との関係を深めることを強く勧められていて、40歳代まで仕事にカマケて家族を蔑ろにしてきた人に取って、先が見えた50歳代の空虚感を家族との思い出で埋めて行くことが救いになるということを指摘されているのが印象的です。
佐藤さんのそういう”勧め”は、ご自身が敬虔な信者であるキリスト教の教えに根ざしているようで、そういう人間としての充実や深みを求める上で、大きなヒントになるんじゃないかと感じました。