地球生まれで旅育ち ヤマザキマリ流人生論/ヤマザキマリ

 

地球生まれで旅育ち ヤマザキマリ流人生論

地球生まれで旅育ち ヤマザキマリ流人生論

 

 

 映画化もされた大ヒットマンガ『テルマエ・ロマエ』の作者であるヤマザキマリさんが語る「人生論」と銘打ったエッセイ集です。

 

 エッセイの内容が、ご自身の原点、女性論、表現論、芸術論、ローマ論の5分野にカテゴライズされてまとめられていますが、いずれの分野もなかなかに深遠な内容です。

 

 ご自身の半生についてはすでに何度も自伝的な著書を出版されていて、再三語られていますが、やはりご自身の原点としては、14歳の時にお母様の代わりに一人でヨーロッパに旅行した経験だとして、その時に受けた衝撃に導かれるようにイタリアに渡り、色んな苦難がありながらもそれを乗り越え、『テルマエ・ロマエ』をキッカケとするブレイクにたどり着くことができたということのようです。

 

 さらに、イタリアで周囲に文化的に造詣の深い知人に囲まれて過ごしたこともあり、ご自身が専門とされていた絵画や、お母さまがプロの演奏家であった音楽はモチロン、文学についてもイタリアに行って以降、日本文学も含めてかなり深く文学に傾倒されたということです。

 

 その中で個人的に目を瞠ったのが、かなりの紙幅を割いて開高健氏のことに言及されていたことで、ワタクシ自身も学生時代に深く感銘を受けた『夏の闇』について触れられていて、ワタクシなんかよりも遥かに深い部分であの名作に触れられていたのは、ウラヤマシクて身悶えしそうな気がしました。

 

 行動力にしろ芸術への造詣にしろ、こういうモノを身につけたいと深く思いますが、やはりそれなりの修羅場をくぐらないとムリなんだろうなぁ、と感じますが、若い頃にこれを読んでいたら、そこまでしてでも、そういうモノを身につけたかった、と思っていたかもしれません!?(笑)