ここ数年、毎月一冊位の勢いで続々とベストセラーを出版し続けている精神科医の樺沢紫苑さんの近刊を紹介します。(最新刊を紹介しようと思っていたら、アッという間に次作が出版されてしまいました…)
今回は幸福を精神医学的に語られるという趣旨のようですが、日々生活している中で分泌される脳内物質のうち、幸福感をもたらすとされているドーパミンとオキシトシン、セロトニンに注目して、それぞれの効用に基づいて、どういう活動をすればそれらの脳内物質の分泌が促進されるかということについて語られています。
ただ、幸福感と言うと多くの人は金銭的や社会的な成功に基づく「ドーパミン的幸福」を求めることをイメージしてしまい、その追及ばかりにフォーカスしてしまい、その結果、精神を病んでしまったり、家族生活を破綻させてしまったりと言うことが起こり易いようです。
さらには「ドーパミン的幸福」の中にはアルコールやギャンブルといった依存症に結び付きやすいモノが少なからずあるということもあって、「ドーパミン的幸福」の追及には注意が必要だとおっしゃいます。
とは言いながらやはり「ドーパミン的幸福」も重要だということで、如何にして精神や人間関係を損なわずに追及するかと言うと、心身の健康である「セロトニン的幸福」や人間的なつながりによってもたらされる「オキシトシン的幸福」をしっかりと整えた上で社会的な成功による「ドーパミン的幸福」を追求すべきだということです。
そういうコンセプトの下で、まずは「セロトニン的幸福」のために「睡眠・運動・朝散歩」の励行だとか、「感謝日記」などにより周囲の人との関係性を向上させるといった感じで、既刊である『ブレインメンタル大全』で紹介されていた心身の健康に資する活動を日々の活動の中に落とし込んで体系的に解説されています。
これまでも「幸福」を科学的に説明しようとする書籍は散見されたのですが、リクツレベルに留まってしまっているものが多く、こういう実践を伴った本はあまり見たことが無かったので、そういう意味でかなり画期的なモノなんじゃないかと思います。
何か鬱屈としたものがある人は、一度手に取ってみて欲しい本でした。