世界と闘う「読書術」/佐高信、佐藤優

 

 

 ”知の怪人”佐藤優さんが、辛口評論家として知られる佐高信さんと、思想に関する本を紹介した対談本です。

 

 この本、サブテーマに『思想を鍛える1000冊』とあるように、対談で取り上げている本と、お二方の推薦図書を含めて1000冊もの本を提示されているのですが、テーマが「思想」なだけあって、かなり手ごわそうなモノが並んでいて、結構怯みます…

 

 しかも、取り上げられているテーマが「宗教・民族と国家」とか「沖縄・差別の構造」といった佐藤さんお得意のディープなフィールドが並んでいて、なかなかハードルが高い話が繰り広げられます。

 

 佐藤さんはかなり多くの対談本を出版されていて、池上彰さんや手嶋龍一さんなど一度対談本を出版した相手とは繰り返し多くの対談本を出版することが多いのですが、佐高さんとは、この後一冊出しただけで打ち止めになっているのですが、この本を読んでいると、対談相手として佐高さんは明らかに釣り合っていなくて、ほとんど佐藤さんがテーマを提示して佐高さんが尋ねるといったような具合で、知識量にしても経験の厚みにしても、シロウトとワタクシからしても、あまりにダンチなのが明らかで気の毒なくらいです。

 

 このお二方、現在は佐高さんが書いた『佐藤優というタブー』という本の中で、佐藤さんと創価学会の関係についての記述について佐藤さんが佐高さんを訴えて係争中だということなのですが、かつての共著者を”刺し”て金儲けのタネにしようというアサマしさも去ることながら、思想家としてのあまりの力量の差にジェラシーを感じて、こんなアラ探しをしたんじゃないかと邪推したくなってしまいます…