ほめるのをやめよう/岸見一郎

 

 

 『嫌われる勇気』で一世を風靡したアドラー心理学の研究者である岸見先生が語られるリーダーシップ論についての本です。

 

 昨今はちょっとしたことでパワハラが取り沙汰されるなど、なかなか部下を指導するのも難しい状況ですが、リーダーとフォロワーの関係というのは、日本企業では上司と部下というコトバから、どうしても上下関係を意識してしまいますが、そもそも岸見先生はリーダーとフォロワーの関係に上下関係という概念はなく、あくまでの果たす役割の違いに過ぎないとおっしゃいます。

 

 モチロンリーダーには、担当する業務分野においてそれなりの経験を積んでいることが多いですし、その経験から構成メンバーに「指導」することも果たすべき役割として含まれてはいますが、あくまでもメンバーに役割を果たしてもらうためのモノに過ぎないとおっしゃいます。

 

 だから、怒鳴り散らして言うことを聞かせるなんてのは論外ですが、担当する業務を進める上での以来の一環といえるワケで、「やってもらう」という意識に近いようで、仮にメンバーが依頼した仕事をしていない場合でも、叱るとかということではなく、なぜそれをしないのかを確認した上で、さらに依頼したことをするように改めて「依頼」するというスタンスを推奨されています。

 

  上司と部下が「同格」だという認識に基づくと、部下を「ほめる」というのも筋違いなんだそうで、あくまでも依頼したタスクを順調に遂行してくれたことの感謝を述べる程度のことになってしまうようです。

 

 ただ、それでもどちらかというと上から目線でホメるよりも、「同格」の立場で感謝する方が受け取る側として、自尊の意識に資することが多いようで、そういう相手の立場を尊重することが現代的には理想的なリーダーシップなのかもな!?と、ちょっと目からウロコの想いのするリーダーシップ論でした。