親子という病/香山リカ

 

 

 タイトルを見た瞬間、下重暁子さんのベストセラー『家族という病』を思い起こしましたが、あちらが下重さんの個人的な経歴を踏まえたモノだったのに対し、こちらは香山さんの精神科医としての臨床経験などからまとめられたモノのようです。

 

 この本は2008年の出版だということですが、やはりその頃も「家族の絆」といったモノがもてはやされる傾向があったということで、とは言いながら少なからぬ親子が相手を殺してしまったり、実行には至らなくても殺したいと思う程、恨んでいたりと、世間の能天気なプロパガンダをニガニガしく思う人は決して少なくないと思われます。

 

 特にこの本では、虐待をしたりと、あからさまな親から虐げられているというよりも、むしろ過剰な愛情が重荷になったり、歪んだモノであったりと、想いがすれ違った結果、悲劇的な状況を招いているケースを多く取り上げられています。

 

 多くの場合、軋轢があったからと言ってそうカンタンに離れてしまうことが難しいことが多いだけに、コトが極端に走ってしまうリスクがあるということですが、やはり子供と言っても自分の所有物じゃないワケですし、親の側から見て良かれと思ったことの多くは子どもにとっていい方向に倒れるワケではないワケで、ある程度子どもの判断力ということを尊重することが肝要ではありますが、家柄だったり体面だったりと、なかなかそういうワケに行かない事情はあるのかもしれませんが、それを子どもの将来とハカリに懸けるワケに行かんでしょ!?と傍からは見えても、そういう冷静な判断は意外と難しいのかもしれません…