高学歴親という病/成田奈緒子

 

 

 以前、iPS細胞の山中先生との対談本『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』を紹介した、山中先生の大学の同級生でもある小児脳科学者の成田奈緒子さんが、高学歴の親にありがちな子育ての問題点について紹介した本です。

 

 高学歴というか、かなり社会的に「立場」のあるとされる親の子どもが引きこもりになったり非行に走ったりというケースが見受けられるようですが、そういう親にありがちな子育てにおける問題として成田先生は「干渉・矛盾・溺愛」の3つのケースを挙げられています。

 

 そういう社会的なステータスが高い親は往々にして、自身のプライドが高いことも多く、それゆえの虚栄心みたいなモノもフツーの人と比べると高いことが多く、子どもに対しても多くを求めすぎてしまうことが多く、ハードルを上げ過ぎた結果、それをクリアできない子どもに厳しく当たったり、過干渉に陥ったりといった問題行動に及ぶことが多いようです。

 

 成田先生は子育ての在り方について、「心配」を「信頼」に変える旅だとおっしゃっておられますが、得てして高学歴親は、なかなか子どもを「信頼」することができずに自分が考えるレベルをクリアできないという「心配」ばかりが先に立つようです。

 

 やはり子どもを一定、自立させるためにはある程度子どもを「信頼」して任せることが重要なようで、親としても、仮に失敗しても、命の危険などといった差し迫ったモノではない限り、矯正したくなるのをガマンして子どもを見守るという姿勢が、長い目で見ると子どもの成長には必須のモノだということをアタマに留めておくことが非常に重要なこととなるようです。

 

 あくまでも子どもは親の「持ち物」ではなく、子ども自身の人生なのでそれを尊重する姿勢というのを持ちたいものです。