ビートルズの謎/中山康樹

 

 

 1970年の解散から50年を過ぎても未だ新たなファンを獲得しているビートルズですが、その人気の秘訣のひとつにマニアックなツッコミどころが満載だということもあるんじゃないか!?ということで、ファンの間で語り継がれる8つの謎について語られた本です。

 

 ビートルズはあれだけの人気を誇ったバンドでありながら音楽的に守りに入ることもなく、かなりトガッた志向を持ち続けたことが未だに広く支持を集め続ける要因の一つだと思いますが、この本の中で取り上げられている音楽的な尖りについて取り上げたトピックで、なぜビートルズシタールを取り入れたのかというモノが個人的にソソられました。

 

 まあ、ジョージ・ハリスンのインドへの傾倒がキッカケだとか、そういう経緯は置いといて、絶頂期にポール・マッカートニーアルバート・アイラ―などのアバンギャルドなジャズに傾倒していたということに触れられているのが印象的で、シタールにしても前衛ジャズにしても、そういった当時のロックとは相いれないモノを積極的に取り入れて、今やロックの代表的なフレーバーのひとつとしているのはビートルズの功績に違いないですし、彼らがいなければ表現の幅も限られたままで飽きられて、既に廃れていたかもしれないと思うと、その貢献の巨大さを改めて認識させられます。

 

 ただ、そういった音楽的な貢献の巨大さもさることながら、茶目っ気あふれる活動姿勢も興味をそそられるところで、アメリカ市場で勝手にアルバムを改編されることに抗議の姿勢を示したといわれる血まみれの赤ん坊のマネキンとともにメンバーが笑っている写真の「ブッチャー・カバー」でのアルバムのリリースや、ビートルズの活動ではありませんが、ジョン・レノンオノ・ヨーコの『Two Virgins』などがこの本でも触れられていますが、やはり解散直前のロンドンのEMIスタジオ屋上でのルーフトップライブが印象的で、実は映画『Let It Be』で警官が演奏を止めに入るシーンも実は仕込みだった!?みたいな興味深いネタが仕込まれていて、かなりソソられるモノとなっています。

 

 まあ、こんな「あるある」ネタの本が新書で出版されるあたりが、さすがはビートルズ!というべきなのかも知れませんが…