ミャンマー現代史/中西嘉宏

 

 

 2016年の民政移管以降、”アジアのラストフロンティア”と言われ、世界の注目と投資を集めたミャンマーですが、2021年事実上の指導者であるアウン・サン・スーチー女史が拘束されるクーデターでまた軍政に戻ってしまったミャンマーの日本占領時以降の経緯を語られた本です。

 

 ミャンマーでは日本占領下からの解放以降、四度の軍によるクーデターが発生していて、長きに渡り国軍の支配下にあることで知られ、事実上の独裁状態にあり、農業以外のさしたる産業もないことから、アジアの最貧国になっいたということです。

 

 そんな中で2011年に就任したテインセイン大統領が、軍政下でありながら開放的な政策を取り、アウン・サン・スーチー女史率いるNLDにも選挙への参加を認めたことから、2016年の政権移管につながったということですが、それでも軍の影響力は隠然と大きなものがあり、アウン・サン・スーチー女史が非難されるロヒンギャへの虐待も、軍の影響下の中で苦渋の選択だったという色彩が強いようです。

 

 再び政権を掌握したものの、軍の側にはさしたるビジョンも無いようで、再度の軍制移管に伴い、公然と国民のデモに発砲を繰り返し多数の死傷者が出たことから西欧諸国の投資の流れも途絶え、経済や社会的な基盤が根底から崩壊しつつあるということも指摘されていて、当面闇の中ということのようです…