男性中心企業の終焉/浜田敬子

 

 

 以前、『働く女子と罪悪感』を紹介した、女性として初めて『AERA』の編集長を務められた浜田敬子さんが、女性を取り巻く雇用の近年の状況を紹介された本です。

 

 浜田さんご自身が、『働く女子と罪悪感』で男性中心社会の色彩の強い新聞社で適応されてきた過程をつづられていたと共に、ライフワークとして日本社会における女性の働き方を取材されてきたようで、世界経済フォーラムが年次で発表しているジェンダーギャップ指数の2022年7月に発表されたモノによると、先進諸国の中で毎回最下位で、しかも西欧諸国との差が広がっているという状況の中、確実に日本企業の中でギャップを埋めようとする姿勢が目立ってきていることを指摘されています。

 

 特にグローバルな事業展開を指向し、ダイバーシティを標榜する企業が熱心に女性の活躍を促す施策を繰り出してはいるのですが、そんな中でも西欧諸国との差が広がっている状況についても指摘されています。

 

 その理由の1つとして、浜田さんご自身の悔恨も含めて、これまで女性活躍の舞台の先鞭をつけてきた女性労働者たちが、往々にして男性主導のシステムに過剰適応することのよってその地位を築いていたという側面があるということで、セクハラやマタハラなどを「なかったもの」としてやり過ごして耐え忍んだことで、後に続く後輩たちにとって、ロールモデルとはしにくいモノになってしまい、新たな女性活躍の「在り方」を提示せざるを得なくなったという問題を指摘されています。

 

 また、究極の問題点として、共に家事や育児を担うパートナーが、それを担うための十分な余裕を確保することが必須だということで、長時間労働になりがちな就労状況を改善することの必要性を強調されています。

 

 ただ、コロナ禍に伴う、在宅勤務の拡充が大きなヒントになったという側面もあるようで、企業も今後優秀な労働者を確保するために、女性の活躍を確保するための恒久的な在宅勤務の活用を含めた新たな勤務形態を模索する必要がありそうです。