『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』で知られる山口周さんが、サブタイトルにあるように、コロナ禍を経ての混沌とした「ノーマルなき世界」を生きるための指針の在り方を語られた対談集です。
対談の相手は『バカの壁』の養老センセイを除けば、新進気鋭の若手の論客で占められていて、閉塞感を打開するためのビジョンを語られます。
冒頭で、かつては疑う余地のない「常識」であって、一か所に集まって仕事をするということが、コロナ禍を経て「何か違うんではないか!?」と思う人が増えて、リモートワークが次第に広まっていった状況に言及されていて、これまでグローバルスタンダードだということで、ロジックを中心としたフレームワークみたいなものを過度に当てはめようとした歪みがイッキに解放されたのがコロナ禍なんじゃないか!?といったハナシもあります。
そんな中で、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』でアートへの鑑賞力を高めて感性を研ぎすますことでロジックでは詰め切れない判断力を高めることを推奨されていたように、リモートワークで郊外や地方に移住して自然に近づいくことが、人間が本来持っているセンサーみたいなモノを呼び覚ますようなことにつながり、感覚が研ぎ澄まされ、判断力の向上につながることを指摘されています。
メインテーマとは直接関係ないのかも知れませんが、AIの研究者で『AI時代の新・ベーシックインカム』などの著作で知られる井上智洋さんが、ZOZOの創業者である前澤友作さんがTwitterで100万円を配っていたのは、実はベーシックインカムの実証実験という側面があったということを目からウロコで、人々がベーシックインカムによっていわゆる”ライスワーク”から解放されることも、本能的な感性を取り戻すことにつながるんじゃないか、ということもかなり興味深い指摘でした。
確かに秩序立てた思考というのも、問題の整理には必要なのかも知れませんが、結局決断にはロジックだけで詰め切れないことが多いので、今後はこういう感性の部分も意識して研ぎ澄ましていく必要があるんでしょうね!?