バカの壁/養老孟司

 

 

 2003年に出版されて400万部を超える大ベストセラーとなった本ですが、未読だったことを思い出して手に取ってみました。

 

 「バカの壁」とは「人は知りたくないことに耳を貸さず情報を遮断すること」なんだそうで、誰しも自身の興味に基づいて情報を処理しており、その”興味”が教養を深めることもあれば、逆に阻害することもあり得るということを語られています。

 

 そういう現象を、入力をx、出力をyとしたy=axという一次方程式で説明されており、いくら入力が大きくても、自身の興味である係数aがゼロであれば出力はゼロであり、また嫌悪感を抱いていれば、マイナスとなることもあり得るということです。

 

 そんな中で科学者である養老先生は、単に知っているに過ぎないこととリアリティを伴った知識との深く広い格差について言及されているのですが、そういう格差というのが、昨今のググることと読書による知識の差や、バーチャルリアリティなどネット後の世界の空虚さを予言しているようで、今、改めて読み返す価値があるような気がしました。