地球、この複雑なる惑星に暮らすこと/養老孟司、ヤマザキマリ

 

 

 養老先生とヤマザキマリさんの対談ってことですが、どんなモノになるんだろう…とちょっと想像がつかなかったのですが、とりあえず興味をソソられるので手に取ってみました。

 

 この本は、ヤマザキさんが養老先生の箱根の別邸もしくは鎌倉のご自宅に訪問して、特にトピックの設定をしないカタチでの対談だということで、2018年頃からコロナ以降まで割と長いスパンに渡って、時にはヤマザキさんのご子息のデルスくんも交えてのモノが収められています。

 

 実はこのお二方の共通項として昆虫というキーワードがあって、最初の2章は延々昆虫に関する内容が大半を占めていて、あまり昆虫が得意ではないワタクシとしてはどうなることやら…と思いながら読み進めていたのですが、次第に昆虫から養老先生お得意の死生観に関する内容、また養老先生ご自身がかなり海外に出かけられていることもあって、ヤマザキさんのルーツとも言えるイタリアのトピックや、世界各国の話題なども出て、ちょっとホッとした次第です。

 

 また、お二方の共通項として、割と早めにお父さまを無くされているということと、かなり自宅が人の出入りの激しい環境にあったということで、そういう事象が人格の形成に及ぼした影響について語りあわれている部分もあって興味がそそられます。

 

 それにしても感嘆すべきはヤマザキさんの博識ぶりであり、当代を代表する知性である養老先生を向こうに回しても、遜色なないどころか、それぞれの守備範囲でより高みに登ろうとしている様子が伺えて、なかなかに知的興奮をそそられます。

 

 お二方ともそれなりに壮絶な環境をくぐられてきたからこその教養だという側面があるので、マネすることはなまなかではできないことだとは思いますが、これ位のレベルで議論ができるといいなぁ…という気がします。