世間とズレちゃうのはしょうがない/養老孟司、伊集院光

 

 

 博識で知られる伊集院光さんと『バカの壁』の養老先生の対談をまとめた本です。

 

 世間からのズレがテーマになっていますが、養老先生によると常に誰でもが、何らかのキッカケで世間からハブられてしまう可能性があるということで、伊集院さん自身も子どもの頃、カラダが大きいという理由でイジメにあっていて、不登校にまでなったという経験を語られています。

 

 また養老先生自身も『死の壁』で触れられていたように、死者を隔絶するという習慣から、死者を解剖するという生業故に何かと不利益を被ることが多かったとおっしゃいます。

 

 だから気にするな、とおっしゃりたいということなんだと思うのですが、実際にイジメにあったりしている人にとってはツラい現実なワケで、そういう場合の逃げ道としての考え方みたいなものを色々と話されています。

 

 どうしても日本人は一定のコミュニティに属することに拘泥されてしまいがちですが、そういう呪縛を感じている人のほとんどはおそらくあらゆるコミュニティから外れてしまった経験というのはないことが多いはずで、でも一度外れて見たとしても、あんまり大した問題じゃないことの方が多いとおっしゃっています。

 

 ということで、巡り巡ってハブられるような事態になっても、ああ、そういう状況なんだな、ということで”風”が通り過ぎるのを待つくらいのつもりでいるのがいいのかも知れません。