超バカの壁/養老孟司

 

 

 『バカの壁』『死の壁』に続く3部作の完結編だということなのですが、前2冊を出版したことによって、何かと人生相談を持ち掛けられるようになったということなのですが、段々と答えるのがメンドーになってきて、よく聞かれる相談事の回答をまとめた1冊なんだということです。

 

 人生相談ということで、子どものことやおカネのこと、人間関係やココロの問題など触れられている内容は多岐に渡っており、戦争責任や靖国神社のことなど、おおよそ人生相談とは思えない内容も含まれているのですが、ここまでの広い分野に対して養老先生のコミットの深さに驚くばかりですが、あまりに広い範囲に及んでいるが故に全体を摂通して感じることは希薄です。

 

 ただ、前2冊でも触れられていましたが、宮崎学宅間守など児童殺人を企てた凶悪犯の脳の解析をしておくべきだったということについてこの本でも再三触れられているのが印象的で、そういうことの制度化にも尽力されているのかな、と思ったのですがどうなのでしょう…

 

 まあ、最期に「本気の問題」ということで、自分の興味の範囲をどのように規定して「バカの壁」の範囲をどのように設定するかというのは、自分がなすべきことに対する”覚悟”だとおっしゃっておられ、その”守備範囲”の懸命に深めることで”迷い”がなくなるんじゃないか、ということが多くの相談への養老先生の回答になるんじゃないかという気すらしました。