戦国武将の精神分析/本郷和人、中野信子

 

 

 脳科学者の中野センセイが、日本史の本郷センセイと戦国大名の行動特性について精神的な分析をされるという興味深い企画の本です。

 

 中野センセイは『サイコパス』の中でも織田信長など歴史上の人物の行動から精神的な傾向について言及されていたように、歴史上の人物の行動様式についても造詣が深いようで、歴史の専門家である本郷センセイともガッチリ話がかみ合っており、かなり読み応えのある内容となっていますが、中野センセイの美貌に本郷センセイがデレデレの様子が目に浮かぶような気がするやりとりがそこかしこに見られます。

 

 織田信長サイコパスだったのではないか!?というのは精神医学の専門家の中ではコンセンサスに近い認識があるようですが、やはり戦国大名として歴史上に残る人は、そういう傾向の人が多いようですが、先天的なサイコパスに対し、後天的に育っていく中でサイコパス的な行動を体得していくソシオパス的な傾向を持つ人も多く、お二方が信長のプロトタイプとされている松永久秀サイコパスに当たるということです。

 

 今年の大河ドラマの主役である徳川家康についても再三取り上げられていますが、子どもを処刑したり、経産婦を好んで側女に登用した精神的な裏付けなどに言及されているのが、行動様式が歴史的な流れに与えた影響がよく理解できるようになります。

 

 また、豊臣秀吉の行動様式の推移が、立場の変化による行動様式の変化の精神医学的な考証がかなりナットク感の高いもので、秀頼がホントに秀吉の子どもなのか!?ということへの言及も含めて、こういう研究がひょっとしたら歴史の研究に大きな影響を及ぼすのではないかという気がして、もうしっといろんな人を取り上げてシリーズ化して欲しい気すらしました。