下流社会 第3章/三浦展

 

 

 三浦展さんの人気シリーズ『下流社会』の第三弾という位置づけなのですが、正編、第2章と打って変わって「オヤジ系女子」を取り上げているので、なぜ『下流社会』シリーズの一環として位置づけるのか理解に苦しみますが、人気シリーズを持つ作者の常で、何匹目かのドジョウを狙う編集者に押し切られたということなのでしょうか…この本の出版は12年前の2011年なのですが、ジェンダー論についてのコンプライアンスがキビシい現在だったらあり得ないタイトル付けかも知れません。

 

 この頃から徐々に男性に媚びようとしない女性が存在感を増していったような気がしますが、そんな中で執筆当時の女性のタイプを

 ・文化系クラスタ

 ・アウトドア系クラスタ

 ・OL系クラスタ

 ・手作り系クラスタ

 ・オタク系クラスタ

に分けて論じられているのですが、男性へのアピールをそれなりに重視しているOL系と、従来から存在するオタク系についてはその特徴に触れるだけにとどめて、主に「オヤジ系」たる文化系、アウトドア系の特徴的な生態について紹介されています。

 

 この本の中で「オヤジ系」とされている文化系、アウトドア系にしても、必ずしも男性に興味がないワケではないようなのですが、少なくとも男性に振り向いてもらうことにプライオリティを置いているワケではないということで、自身の趣味や嗜好を重視したライフスタイルだということで、大まかな傾向としてファッションに費やす費用よりも、圧倒的に趣味に費やす費用が大きい傾向が強いということです。

 

 そういう傾向の中で、父親がそういった「オヤジ系」女子に及ぼす影響を指摘されていて、父親の趣味に影響されて趣味や嗜好が形成されている側面が大きいということです。

 

 おそらく10年あまりの年月が経った現在ではその傾向はより強まっているような気がしますし、むしろ自分の意思を反映できるような状況がより好ましいと思えますが、それだけにこのタイトルを付けたことが惜しい…