70歳が老化の分かれ道/和田秀樹

 

 

 『80歳の壁』など、最近はすっかり老人向けの著書の執筆に専念されているように見受けられる和田センセイの、そういった趣旨での著書です。

 

 まあ、おっしゃっていること自体はどの本もほとんど変わらないので、どれか一冊読めばいいということになりますが、老いに不安を感じる方々からすれば、結構励まされるのかもしれません。

 

 基本的には、70歳以降ともなれば、どうせそれほど生い先も長くないんだし、変なガマンをせずに、気分良く過ごしていくのがその後の人生を充実させていく秘訣だということです。

 

 例えば1ミリもブレずにずっと言い続けておられるのが、血圧が少々高かろうが、少々ハラが出てようが、気になる症状がない限りは好きなモノを食べて、飲んで機嫌よく過ごす方が、医者の言う数値に合わせるよりずっと健康に過ごせるということですし、ガンなんて年寄りだったらほとんどの人が知らないうちに持っているモノで、ヘタに病院に行って治療のプロセスに入る方が寿命を縮めたり、カラダに変調をきたすので止めた方がいいということです。(ただ、脳ドックと心臓ドックは3~5年に一度受けておいた方がいいそうです。)

 

 また、イヤな人付き合いも避けるべきで、気の合う人とだけ付き合えばいいということで、そうすることで人付き合いがおっくうになって引きこもることも避けられるということです。

 

 ただ、身近な人との死別など、どうしてもその年代に起こってしまうこととの付き合い方は留意すべきだということで、メンタルヘルスだけには気を付けておくべきで、気になることがあれば、そこだけはちゃんと医者にかかるよう勧められています。

 

 医学的な「常識」から言うと異端だとご本人もおっしゃいますが、多少長生きするよりは機嫌よく残りの人生を過ごす方がいい、という方をとる人は、和田センセイのいうことに従った方がいいんじゃないかと思います。