他人に言い負かされないための心理学/和田秀樹

 

 

 最近は『80歳の壁』のヒットでも知られるように高齢者向けの著書が目立ちますが、かつては『会社にいながら年収3000万を実現する』のようなビジネス書・自己啓発書でのヒット作を連発されていた精神科医和田秀樹さんの2002年出版の、そういった作風の中の1作です。

 

 20年余り前のモノなので、状況は変わっているのですが、上司など強者に言われるままに泣き寝入りしているようでは明日はない!ということで、イザという時にはケンカができるような心構えを持っておこうということを勧められたモノなのですが、ただただ好戦的になればいいというワケではなさそうで、かなり広い視野を持った上で、長い目で見て「負けないケンカ」をするための手法を紹介したモノと言えそうです。

 

 というのも、ただ目の前の相手のケンカに勝ったとしても、相手の逆恨みに遭ったり、あまり卑劣なやり方をすると周囲からの評価が劇下がりしたりというリスクもあるので、周囲を味方につけつつ、相手からもそりゃ仕方がない、と思わせるような「勝ち方」を目指すのが最上のケンカと言えそうです。

 

 そのためにはある程度理に適った方法論を取る必要はあるのですが、さりとて理に勝ち過ぎると反感を買うという側面もあって、そういうバランス感覚というのも重要なようで、総合的に考えるとケンカに強いヤツというのは、相当デキるヤツってことなんじゃないの!?とツッコミたくなる部分もあって、そこまで冷静にケンカできるようになりたい、と割と好戦的で短気なワタクシとしては羨ましく思うのですが、和田センセイもどちらかというとソッチのクチらしいですが…