老いの品格/和田秀樹

 

 

 最近、『80歳の壁』が大きな話題となっていて、老いや病を受け入れて、如何にウマく付き合っていくかという考え方が多くの人の共感を呼んでいるようで、従来からそういう主張をされてきた和田センセイとしては報われた想いを抱かれているかも知れませんが、この本もその主張の延長線上にあるということです。

 

 50代も半ばに差し掛かりつつあるワタクシとしても、最近は小さい文字が醜くなったりと、ついついできないことに目が行ってしまって、それを嘆いてしまいがちですが、80歳代であってもまだまだできることは少なくないはずですし、そちらに目を向けた方が優雅に過ごせるんじゃないかとおっしゃられています。

 

 最近はそういう衰えを補うためのモノも充実していますが、特にオムツなどを使うのにプライドを傷つけられた想いをする人が多いということで、なぜ目が悪くなってメガネをかけることは気にしないのに、そこを気にするかな!?ということを指摘されていて、少しずつウマく取り入れていくことで、プライドのためにガマンすることで受けるストレスを回避して行くことの方がその後の生活を充実させることにつながるんじゃないですか!?と提案されています。

 

 そういう老いを受け入れる姿勢として重要なのが「柔軟性」だということで、目の前のことを受け入れた上で如何に状況を楽しむかという姿勢が求められるということで、老人というと凝り固まった考えを抱く方もおられるようですが、長年の経験や知識の蓄積で目の前のことに対応するための引き出しは若い人より多いはずで、本来色んなことに柔軟に対応できるポテンシャルを兼ね備えているはずだとおっしゃいます。

 

 そんな中で和田センセイは老いてからのロールモデルとして高田純次さんを挙げられており、ああいう飄々とした柔軟な生き方が周囲にも支持されやすいでしょうし、本人もラクだと思えますし、老後の生き方として、ある意味Win-Winな在り方なのかも知れません。