日本人の真価/藤原正彦

 

 

 かつて2005年出版の『国家の品格』で、その頃既に経済的には下降局面にあって自信を無くし始めていた日本人に大きく支持された藤原正彦さんが、『文藝春秋』誌に連載されているエッセイ的な文章をまとめられたモノです。

 

 オビには「美意識と武士道精神で、危機の時代を生き抜く」とされていて、17年前の著書『国家の品格』の何匹目かのドジョウを狙っているかのようですが、オビに騙されて、ジジイのクダラないモテ自慢に付き合わされる読者の身にもなってもらいたいモノです。(おまけに、この本は自腹で買ってしまった…)

 

 多少、日本人論的なモノには触れられてはいるのですが、結局、日本人の精神性云々というところに、藤原氏のいう「真価」というモノは終始しているようにしか思えず、それって、「神風」を夢想して破滅した第二次世界大戦時の日本と何が違うんだ!?としか思えず、日本人は早くそういう幻想から覚めないとヤバい!という反面教師的な価値しか感じられませんでした…久々に読んだ時間がムダだったと思える本でした…(本代返せ!)